泣きはらした目のまま山手線に飛び乗った
もうぜったい、ぜったい人を好きになったりしない
こんな思いはもう本当にしたくない
付き合ったり別れたりを繰り返しながら
5年が過ぎていた
Client
model /夏音:池田朱那 カズ:石橋和磨 Photographer : tsukao Stylist : 谷川夢佳 HairMake : AKI
Project Date
2021
Category
Boy · Girl · Photography · Videos

出会ってから、1番の親友であり恋人だった航一は
少しケンカ別れしている間にできた恋人と
結婚することになった。パパになるのだ。
ありがちなことなんだろうと思う。
だからって自分の身に起きた時に
平気であるのとは違う。

だめだ
もう何をしていても涙が出てきて止まらない
ふと外を見る

あれ?
ここはどこ?

あまり見慣れない街並みが見える
私は上野駅から品川方面に乗ったはず
「鶯谷ー、鶯谷ー」
アナウンスが流れる
やってしまった
反対方面に乗ったのだ
さっき飲んだビール一杯で酔っ払ってたのか
泣きすぎてちゃんと見てなかった


ああもう
とりあえずドアが開いた瞬間とびおりる。
冷たい風がぬれた頬をぶつ。
もうそんなにいじめないでよ。
充分ボロボロだってば。白旗あげて倒れてるんだからこれ以上やめてお願い。
そう思うとまた涙が出てくる。

気づくと横に立っている人がいる
ああそうか、もう次の電車に並んでるのか。
とりあえず後ろにまわろう。涙を見られたくない。
と、振り返った時
横にいた男性のスマホの画面が見えた。


女の人の写真だった
スマホの本人だろうか、男の人と二人で写る笑顔の写真
でもどう見てもその写真の女の人は

私にしか見えなかった
私の写真をなぜこの人が??




私は思い切ってその男性の顔を見た
スマホをじっと見ている見たことのない顔
少し離れてみたり、何かを探すふりをしてしれっと回り込んで
正面の顔も見てみた
全く見たことがなかった

どういうこと?
わたしにものすごくそっくりな顔の人が
この人の彼女ということなんだろうか
「鶯谷ー鶯谷でございます」

次の電車がきて、その男性は何事もなく乗り込んでいった。
私はぼうぜんとしたまま、ドアが閉まるのを見た。


その時、乗り込んですぐドア際に立った
スマホの男性と目が合った。
明らかに驚いた顔の男性

口が動く
「ゆき?」
と、わずかに聞こえた
電車が動き出した。

その驚いた顔の男性は私を見たまま
電車は走り去っていった。

私の名前は夏音(なつね)という。
だから、多分きっとよく似た顔の「ゆき」さんが
反対方面にいるのだ。
そんなことあるんだ。

なんか、一気に色んなことがあって
考えが追いつかない。

ぼんやりしたまま階段を上る
渡り廊下からは電車がよく見える
線路がいっぱい




少し、酔いざましに歩こうかな





いいな。
私は振られたばっかりだっていうのに。

そう思うとまた涙がこぼれてきた
もう何やってんの私は

帰ろう
家に帰ってあったかいお風呂に入って
ビール飲んで寝よう。


今度こそ品川方面のホームに向かう
階段を降りて
ホームが見えたそのとき


さっきの男の人がホームに立っていた。
私は目を見開いたまま動けない。
「ゆき!」


男の人はまっすぐ、私の方にやってきた
ちがうのちがうの私はゆきじゃないの
人違いなの
説明をしたいのに、何も言えなくて
代わりに涙が出てきた




ほんとにどうしたんだよこんなところで
私は駅のホームでわんわん泣き続けた




涙が次から次に出てきて
止まらなかった


Movie
Privacy settingsのYoutubeのボタンをオンにしてSAVEしてからお楽しみください↑
見れない場合はこちらへ↓
写真をダブルクリックしてください↓
Please 2 click it to see All photos.↓